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2023-01-01から1年間の記事一覧

並んでまでは…

その店で食べるつもり、あるいは飲むつもりでいたとする。行ってみたら満席。当然ながら、私一人なら、待たない。並ばない。どこか別の店へ向かう。しかし、せっかく来たのだから、少しぐらい待ちましょう、並びましょうという気持ちも分からなくはない。だ…

hitohadaredemo

夏休みの宿題は涼しい朝の内にしましょう。そんな指示を守っていたのは中学校の1年か2年まで。家の中で、朝起きるのは、いつでも私が一番で、学期中よりも早く目が覚めた。目が覚めると、もう寝てはいられない。あちらこちら散歩してまわる。帰ってきても…

生理的な現象

昼前、近所に用があって家を出た。歩き出してすぐに、右の目の端で糸屑が動いている。眼鏡を外して確かめた。何もない。睫毛を触ってみる。それでも糸屑が動いていた。夏の日差しに久し振りに当たって、立ち眩み、貧血を起こしたのかと考える。しかし、そこ…

イヤリング

大学4年の初夏。それが5月だったか6月だったかも判然としない曖昧な記憶。2週間の実習が終わる土曜日の夕方、学生ばかりで打ち上げをすることになった。学生とはいえ、学び直しの30代半ばの人もいたし、短期大学生もいたから、様々な年齢の集まる10…

ピアス

電車の中で、東急ハンズ三宮店のことを考えていた。閉店したのは2020年12月。そんなに時間が経ったのかと思うのは、年寄りの常。考えてみたら、普段の動線から外れるため、閉店後の姿も見ていない。店が出来た頃は、行ってみると、夢の暮らしが提示されてい…

ハイボール

15年程前、仕事帰りの角打ちの店で、いつもの日本酒ではなくハイボールを飲んでみたくなった。夕暮れ前の暑い時間。それほど客が多くなかったのは、その日が土曜日だった所為か。ハイボールを_と注文すると、パートのおばちゃんが怪訝な顔をした。常連客の…

外野スタンド

梅雨の晴れ間。平日ながら昼間の野球場へ行ってみたくなる。もちろんゲームはやっていない。外野スタンドのてっぺんに座って、緑の芝生を眺める。あんなに綺麗に整備された芝生に立てるのは選ばれた者たちだけ。そんな特権を有する者たちのプレイを傍観する…

バーベキュー

新しい戸建て住宅が並ぶ辺り。天気の良い週末の夕暮れ。ぶらぶら歩いていると、あちらこちらの庭でバーベキューをしているのに出くわす。庭と道を隔てているのは僅かな植栽。その隙間から、缶ビールを手にする人と目が合うことも。覗き見していたようで頗る…

スパークリングワイン

飲む量も食べる量も著しく減っているのだが。時折、無性にスパークリングワインを飲みたくなる。妻がアルコールを一滴も飲めない体になる前は、クリスマスや誕生日のプレゼントとして購入し、一緒に飲んでいた。今、家で一人飲むなら、ハーフボトルになる。…

今日は休む。

震災前。仕事は、どちらかと言えば、調子が良い頃だった。早朝、6時45分くらいだったか。職場近くの、小さなターミナル駅に着いて、改札へ向かって歩き出した。改札手前の売店。(今は駅中のコンビニエンスストアだが、その頃は、ローカル私鉄系列の売店…

歌う人

発症から5日間の自宅療養。それが終わって2週間が過ぎた。体調は元に戻っているのだが、気持ちは落ち込んだまま。溜息の大きさに、自分でもハッとする。その一つ一つを潰していくつもりで、メインブログや外出ブログ用の英文を作っている。いつ公開するの…

青葱

熱で臥せっていて、あれこれ妙なことを考えた。蕎麦やうどんの薬味にするような刻んだ青葱を大量に食べたくなった。頭の中では、胡麻油を引いて熱したフライパンに、小口切りにした青葱を大量投下する。火は直ぐに止めて、余熱の中で、ナンプラー少々、鷹の…

♫貧乏は不運で病気は不幸♫

臥せっていて、高田渡の歌声が思い出された。そこから叔父のことを思い出す。父よりも随分早くに亡くなって、今年はもう何年になるのか。 或る年の元旦。伯母の家への年始に、その時も私は欠席し、家に一人でいた。夕暮れ近い頃、叔父が訪ねてきた。高校生の…

発熱病臥

たいした熱ではない。しかし平熱が低いと微熱でも節々が痛い。38℃越えともなれば、この世の終わりだ。家庭内隔離を言い渡され、猫は構いませんかと尋ねた。猫には、うつらないですが、その猫が他の家族に擦り寄ったりするのは、どうなんでしょう。分かりませ…

蕎麦搔き

蕎麦屋というものを見かけない。街中の路地裏を探せば見つかるのかもしれないが、一見の客が入っていくには敷居が高過ぎる。しかも蕎麦を食べるのが主ではなく、あくまでも酒の肴、アテとして考えるから、店に入る前から何某かの遠慮がある。日本酒ではなく…

誰とも会話する必要のないショットバー

震災前の三宮駅構内には、映画を観終わった後に立ち寄るショットバーがあった。頗る安価な料金。カウンター席に座り、酒瓶のずらりと並ぶ壁面を眺めているだけで、時間が潰せた。注文の時以外は店の人とも会話する必要がない。離れた所で何かをしている雰囲…

トマトジュースの続き

記憶の中の呉の造船所は現在のどこなのか。地図を見ても判然としない。父が乗り組んでいた船が入渠修理乃至は整備中だったのだから、IHIと合併する前の呉造船所、嘗ての呉海軍工廠だったのではないか。この時、暫く呉に留まるため、広島市内の船員保険の施設…

トマトジュース

焼酎を割るなら、氷無しの水割りか湯割り、ホッピー、クラブソーダ。味が付いているのはホッピーだけだ。外でホッピーに出合うことは滅多になく、角打ちできる酒店にも置いてない。近所の安売り酒店でも、出ない商品は置かない_という答えばかり最初は耳に…

飲み方いろいろ

その店の壁には、「飲み方いろいろ」なる張り紙があった。恐らくは、カレンダーの紙の裏面。隅の捲れ具合、黄変した様から、その年季が伺えた。張り紙には、ずらずらと焼酎乙類の手書き文字が並び、一番下に、水割り・湯割り・ロック他とあった。無論、焼酎…

干鱈

立ち飲みしながらカウンターの中、調理スペースを眺めていた。手前すぐ近くのガラス容器で目が留まった。スルメ下足やエイノヒレ等の珍味の中に、白っぽい棒状のものがある。あれは鮭トバではなく干鱈ですか?洗い物をしていたお姐さんは、干鱈という語では…

山葵漬

細長いガラス張りの冷蔵庫に小さな透明カップが並んでいる。一つは海苔の佃煮。如何にも一匙掬って、そこへ入れたような感じがする。その横のカップの中身は山葵漬?それを確認してから、出してもらった。殆ど酒粕。どこに山葵の葉や茎があるのか分からない…

目刺

馴染みの角打ちが軒並み閉業になってしまって、ふと思い出すことが幾つか。今日は目刺。昔々、経済界のある有名人の食が質素だと話題になったことがある。一汁一菜が基本、目刺が好きだと喧伝された。成程なぁと思ったものだが、後になって、その目刺は、ど…

ネーミング

昼酒を供しておきながらヘルシーを謳うのも笑止ではあるが、その店のメニューには一頃ヘルシーおでんなるものがあった。注文すると、少し大きめの皿に、和布、ミニトマト、カイワレ大根、春菊を入れてくれる。注文が通ってから、具材を鍋へ入れるため、食べ…

フォー(続きの続き)

大阪のフォーの店が無くなってから暫くして、馴染みの下町にベトナム料理の店が出来た。ランチメニューに惹かれて入ってみた。注文したのは一番安い鶏肉のフォー。薬味として付いてた酢漬けのニンニクスライスが、とにかく美味かった。次に行った時には、鶏…

フォー(続き)

大阪のフォーの店には二度行った。一度目は私一人で。二度目は娘と一緒に。いずれも大阪場所見物の昼食として。その後、もう一度、行ってみたのだが、無くなっていた。ブリキの装飾品が至る所にあり、ベトナム風なのかどうなのかは分からないが、金星紅旗は…

フォー

職場に2年ほどベトナムの女性がいた。母国語の他に英語、フランス語が堪能。日本語も会話が普通に出来る上に、ある程度は読むことが出来た。書くことも、全て平仮名でなら、不自由はなかった。ずっと日本で暮らすつもりですか?日本語読み書きのテキストを…

味噌田楽

その飲み屋には、おでんはなく、代わりに味噌田楽があった。上司2人と同僚1人、部署は違うが皆がお世話になっている技術畑の高齢の人、全部で5人の私的な飲み会が催された。繫忙期になる前に、私を元気づけるという意味があったのではないか。あとになっ…

土曜日の下校時間

給食のない土曜日の下校時間。小学校の正門のところに、時々、妙な物売りが来た。自分でも作れそうな輪ゴムの鉄砲やスギノミ、ジャノヒゲの種子を飛ばす篠竹鉄砲、夜光塗料が塗られた髑髏の玩具など……。担任の先生からは、買わないようにという指示は出てい…

玉ひも

職場の先輩に声を掛けられた。玉ひも好きか?訝し気に頷くと、玉ひもを塩焼きしてくれる店がある。肝も塩焼きがある。とのこと。一緒に飲みに行くことのない人だったが、有難い情報を教えてもらった。店は職場から近い。すぐに分かった。玉ひもも肝も、塩焼…

真夏日

5月半ばにして真夏日の告知。日向へ出ると、成程と思うのだが、日陰は涼しい。湿度が低いからなのだろう。これが真夏日であるなら、7月、8月は何なのだろうか。この過ごしやすい「真夏」なら、玄関先に縁台を置いて風に吹かれるのも悪くない。 もう潰して…