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フォー(続きの続き)

大阪のフォーの店が無くなってから暫くして、馴染みの下町にベトナム料理の店が出来た。
ランチメニューに惹かれて入ってみた。
注文したのは一番安い鶏肉のフォー。
薬味として付いてた酢漬けのニンニクスライスが、とにかく美味かった。
次に行った時には、鶏よりも少しばかり値が上の牛肉のフォーを頼んだ。それも美味かったが、酢漬けニンニクはなく、普通にパクチーのみだった。
店の中は、がらんとしていて、私以外の客は、ちらほら。皆、ベトナムの人だった。店の人もベトナムの人らしく、調理場から聞こえる言葉は、日本語ではなかった。客の応対をする美しい人も、きれいな日本語を話していたが、ベトナムの女性だった。
近くに日本語学校が出来ていて、どこかの国の人が増えているのは気づいていた。もう少し西の方や、運南と呼ばれる辺りに、コミュニティがあるのは知っていたが、少しずつ住む場所が移動しているらしい。
異国の言葉や異国の歌を聞きながら、ぼんやりとフォーを食べるのは心地よかった。

それが、いつの間にか、シャッターの降りていることが多くなった。臨時休業します。という使い古された張り紙を眺めるたびに、潰れてしまったのかと残念に思っていた。しかし、夕方通りかかると開いている。ランチ営業は金曜日と土日だけになり、夕方からの営業がメインになったらしい。山羊や鵞鳥、蛙などの料理があったのを思い出した。食べたら美味しいのだろう。しかし、妻は食べる気がしないはずだ。私一人で、それだけの料理は食べられない。
先日、久しぶりに食べた鶏肉のフォーを随分と持て余した。酢漬けニンニクもパクチーもなくなり、日本人向けに食べやすくなっていたのだろう。しかし、私には量が多かった。次に行くときには、生春巻きと揚げ春巻きを遠慮して、フォーだけを頼めないか訊いてみようと思うほどだった。
食べる量も、飲む量も減ってしまったのは、歳の所為なのだろうか。