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トマトジュース

焼酎を割るなら、氷無しの水割りか湯割り、ホッピー、クラブソーダ。味が付いているのはホッピーだけだ。外でホッピーに出合うことは滅多になく、角打ちできる酒店にも置いてない。近所の安売り酒店でも、出ない商品は置かない_という答えばかり最初は耳にした。幸い、私以外にも買い手がいたらしく、今は棚に並んでいる。外ではなかなか飲めないホッピーを、家で焼酎甲類と飲むようになった。
帰りがけに飲んでいた頃は、専ら常温の日本酒。歳をとり、飲む量が減って、退職が近づく頃には、水割りや湯割りのウィスキーに変わっていた。食べる量も減った。

飲み屋のメニューに冷やしトマトがある。
就職して暫くの頃に気づいて、不思議なものが酒のアテになるのだと思った。それを年上の同僚に話すと、カリカリになるほど塩をかけて食べるんや_と教わった。成程と思う反面、塩を掛けない方が自分の好みだと思った。酒の合間に食べてみるトマトは、確かに十分美味かった。
いつものように日本酒のコップ酒を頼み、一皿目として総菜コロッケでも頼んだ後だったか。常連客がいろんなものを混ぜて焼酎を飲んでいるのを眺めていた。ふと、自分も缶入りトマトジュースを飲んでみたくなった。冷蔵庫から取り出して、店主に見せると、氷は?と訊かれた。要らないと応えると、新しいグラスを置いてくれた。飲んでいるのが日本酒だと分かっているから、焼酎用の丈の高いグラスではない。グラスに1/3ほど注いで、少量を口に含む。思ったほどの濃い塩味ではない。食塩入りの表示はあったが、減塩を謳っているわけでもない。昔の缶入りトマトジュースが塩辛かったと記憶しているのは子供の舌の為せるわざ_なのか。

少し塩味のするトマトジュースを口に含み酒を飲んでいたら、昔々の、呉のドックの光景が思い出された。