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真夏日

5月半ばにして真夏日の告知。
日向へ出ると、成程と思うのだが、日陰は涼しい。湿度が低いからなのだろう。
これが真夏日であるなら、7月、8月は何なのだろうか。この過ごしやすい「真夏」なら、玄関先に縁台を置いて風に吹かれるのも悪くない。

もう潰してしまった古い家には、小さな椅子があった。小学生の私が持ち出して座れるような、籐か竹を編んだ軽いものだった。西向きの玄関先に置いても、暑かったという記憶がない。道路は既にアスファルト舗装されていたはずなのだが。
椅子に座って、ぼんやりしながら、初めて行った宿泊行事の、山小屋の朝を思い出したりしていた。

今の家の玄関は東向き。午後からは、ずっと日陰になる。
縁台を置いて、缶入りのハイボールでも飲んでみたくなった。

出張帰りにバスの中から眺めた駄菓子屋の光景を思い出した。
店先でタコ焼きを作っているのだが、3人掛けの長椅子に座るのは、おっちゃんたち。信号待ちで停車している僅かな時間ながら、缶ビールを飲みながらタコ焼きを食べているのが分かった。上下白の薄物を着ていたから、風呂上りだったのだろうか。経木舟に入れてもらった出来立てのたこ焼きと缶ビールの組み合わせ。ソースと入り混じる粉ガツオの匂いが想像できた。イヤな一日の終わりだったが、その様子を見て、少しばかり心が晴れた想いがした。

こんな店が近所にあれば、私も行ってみたいと考えたのは、もう30年近く前。

今の家近くの駅前には、不定期に営業するタコ焼きの店はあるのだが、一度も買ってみたことはない。
理由はあれやこれや。
家の前で一人座ってハイボールを飲む方がハードルは低そうだ