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玉ひも

職場の先輩に声を掛けられた。
玉ひも好きか?
訝し気に頷くと、玉ひもを塩焼きしてくれる店がある。肝も塩焼きがある。とのこと。
一緒に飲みに行くことのない人だったが、有難い情報を教えてもらった。
店は職場から近い。すぐに分かった。
玉ひもも肝も、塩焼きで食べるのは格別だった。
当時住んでいた家からも近かったため、休みの日には家族で訪れた。
娘は未だ幼稚園から小学校の低学年だった。私と二人で店へ行ったこともある。私の酒の肴を横から何でも食べた。玉ひもも肝も塩焼きで食べた。
大人しいお嬢ちゃんと褒められ、帰りがけに店のお姐さんから蜜柑をもらったこともある。
何を食べても美味しく、クーラーボックスで冷やしていた地酒を頼む楽しさもあった。
それが休んでいる日が多くなり、いつか別の店に変わった。年老いた店主と女将だったから、やむを得ないことだったのか。
その後、近所の焼き鳥店で、玉ひもや肝を塩焼きで_と注文すると、断られた。
タレで食べるものですよ。と小言を言われたことも。