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今日は休む。

震災前。
仕事は、どちらかと言えば、調子が良い頃だった。
早朝、6時45分くらいだったか。職場近くの、小さなターミナル駅に着いて、改札へ向かって歩き出した。
改札手前の売店。(今は駅中のコンビニエンスストアだが、その頃は、ローカル私鉄系列の売店だった)
ネクタイを締めた男が、一人、今日は休むと、小さな声で宣言した。
見ると、カップ酒を飲んでいる。職場は、どの辺りなのかは知らないが、ここまで来て、休む決心をしたのか。と思った。
その日、一日、その光景が頭に残り、退勤前、すぐ前の席にいる先輩に、それを話した。
羨ましいと思ったんやろ?
そう言われて初めて、自分の本心を自覚した。
頷きはしなかったが、
おんなじこと、せんとってよ。と釘を刺された。
それまでも、それから後も、病気と父の葬儀の時以外は、休んだことはない。
それは私の誇りではなく、意志薄弱の惰性の産物だったと考える。
休みたい時は、幾らでもあった。
今日は休む。と決心して、酒を飲み、丸一日、姿を消せる人間であったなら。
そんなことを今頃考えている。
情けなくて仕方がない。