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ささやかなもの

このところ視かけて止めてしまう映画が増えた。録画していたものを数分視ただけで消去。その多くがホラー映画。思春期以来のグロテスク趣味は失せてしまったのか。しんどいと感じるのはグロテスクなホラー映画ばかりではない。全世界、或いは全宇宙の運命を…

架空の旅行プラン

鬱々とした気分を紛らせるため、旅行プランを立てる。実現する当てはない。それでも、飛行機には乗らず、精々、新幹線を使うか使わないかを迷う程度。新幹線を使わなければ、移動に時間を要する。早朝に家を出ても、到着が18時を過ぎてしまう。新幹線が速い…

田舎暮らし

同い年の理髪師さんから教えてもらったこと。都会での人付き合いが厭で田舎暮らしを始める人、大体は上手くいかない。50過ぎでも青年団。消防団参加。祭りの手伝いは必須。成程なぁ。と思う。昔、有名なフォーク・シンガーも、そんなことを歌っていた。人…

松茸

勤めを辞める前、休日出勤の帰りがけに、松茸を買うことがあった。無論、産地不明の安物。青物商の主人も、天婦羅にしたらイケるよ。という売り方。安物と書いたが、安くはない。家計を考えるなら、腹の足しにならない贅沢品。莫迦げた出費だ。それを紙袋に…

泪 その二

立ち飲み屋で、氷無しの水割りウィスキー。その2杯目が既に残り少ない。最初に頼んだ天婦羅串揚げの五種盛りは二串ばかり残している。3杯目を頼むついでに厚揚げ焼きを頼んだ。三角形の厚揚げが2つ。思った以上に食べ出がある。4杯目を頼まずに済むよう…

泪 その一

勤めがあった頃、帰りの電車の中で、泣いている女性を何度か見かけた。然して遅い時間帯ではない。西の空に未だ光が残る頃。或いは、漸く7時を過ぎたあたり。声は無いが、大粒の泪を頻りに流し、拭っている。何か声をかけるべきではないのか。そう思いなが…

サンマ

ネットニュースの見出しを眺めていて、アメ横で食べたサンマの塩焼きを思い出した。もう15年以上も前。昼飲みの出来る居酒屋へ入って常温の日本酒を頼んだ。壁に並ぶ品書き。サンマ塩焼きで目が止まった。夏の初め。多分冷凍のものだろう。目黒ならぬ上野…

トンカツ

78で亡くなった父は古希を過ぎてもトンカツが好きだったらしい。母が亡くなる前に、そんな話を聞いた。場所は昼から開いている居酒屋。同じ店で父はトンカツ定食を食べていたらしい。別の所になるのだが、或る家電量販店近くのトンカツ屋も好きだったらしい…

素麺

10年程前まで足繁く通っていた角打ちの店。夏になると素麺が品書きに現れた。冷蔵庫の密閉容器の中に、茹でた素麺が一人前ずつ小さな塊で並んでいた。注文が通ると、硝子器に一塊の素麺とツユ、薬味のネギが入り、客のもとへ。食べているのは皆かなり年輩…

ニュース

新聞を読まなくなって久しい。妻が読んでいるため、購読料は今も払っているのだが。無論、テレビのニュース番組も見ない。テレビスィッチをオンにすることも滅多にない。 中学校の夏休み。中央図書館の大閲覧室で新聞を読んでいる痩せた老人に何度も出遭った…

猫は時々、私には見えない何かに気づいて視線を走らせる。そして、どこか一点を凝視する。多分、虫を見つけて追いかけているのだろう。ムイムイがいたのかな。と声を掛ける。虫がいたとしても、この猫は見ているだけで、手出しさえしない。それこそ何度も、…

虹を見た。

明日、台風上陸とのこと。3時過ぎから眠れず、5時にはまだ間がある頃ゴミを捨てに出て、町をぶらついた。風は南の風ではなく、北寄りの風。心なしか涼しく、盆の真下に秋の気配を感じた。空は東も西も朝焼けに染まっていた。西の空でも、朝焼けと呼ぶこと…

口笛

台風が近づいているのは知っているが。毎日の夏空。偏頭痛に悩まされている。眠っていても、起きて座って、また寝転んでも。昼前になって、少しばかり歩くことにした。夕方、早朝よりも、人影が絶えた世界。こんな暑さの中を、散歩するような酔狂は、いない…

どこぞへ行っとったんかい?

久しぶりに見た映画。何回か録画してディスクにも残していたのだが、フォーマットが変わり、見れなくなっていた。最近放映されたのを改めて観た。1998年公開。もう25年も前のもの。たどたどしいセリフ。言葉と言葉が繋がるようで繋がらない隔たりのような間…

辛い物

先日、キムチをたくさん入れた焼きラーメンのようなものを妻が作った。美味しく食べたのだが、数日、腹の具合がよろしくない。食欲が減退する時期には、豚キムチ炒めも頻繁に登場する。が、同様の不具合があったどうか、これは覚えていない。歳をとると刺激…

並んでまでは…

その店で食べるつもり、あるいは飲むつもりでいたとする。行ってみたら満席。当然ながら、私一人なら、待たない。並ばない。どこか別の店へ向かう。しかし、せっかく来たのだから、少しぐらい待ちましょう、並びましょうという気持ちも分からなくはない。だ…

hitohadaredemo

夏休みの宿題は涼しい朝の内にしましょう。そんな指示を守っていたのは中学校の1年か2年まで。家の中で、朝起きるのは、いつでも私が一番で、学期中よりも早く目が覚めた。目が覚めると、もう寝てはいられない。あちらこちら散歩してまわる。帰ってきても…

生理的な現象

昼前、近所に用があって家を出た。歩き出してすぐに、右の目の端で糸屑が動いている。眼鏡を外して確かめた。何もない。睫毛を触ってみる。それでも糸屑が動いていた。夏の日差しに久し振りに当たって、立ち眩み、貧血を起こしたのかと考える。しかし、そこ…

イヤリング

大学4年の初夏。それが5月だったか6月だったかも判然としない曖昧な記憶。2週間の実習が終わる土曜日の夕方、学生ばかりで打ち上げをすることになった。学生とはいえ、学び直しの30代半ばの人もいたし、短期大学生もいたから、様々な年齢の集まる10…

ピアス

電車の中で、東急ハンズ三宮店のことを考えていた。閉店したのは2020年12月。そんなに時間が経ったのかと思うのは、年寄りの常。考えてみたら、普段の動線から外れるため、閉店後の姿も見ていない。店が出来た頃は、行ってみると、夢の暮らしが提示されてい…

ハイボール

15年程前、仕事帰りの角打ちの店で、いつもの日本酒ではなくハイボールを飲んでみたくなった。夕暮れ前の暑い時間。それほど客が多くなかったのは、その日が土曜日だった所為か。ハイボールを_と注文すると、パートのおばちゃんが怪訝な顔をした。常連客の…

外野スタンド

梅雨の晴れ間。平日ながら昼間の野球場へ行ってみたくなる。もちろんゲームはやっていない。外野スタンドのてっぺんに座って、緑の芝生を眺める。あんなに綺麗に整備された芝生に立てるのは選ばれた者たちだけ。そんな特権を有する者たちのプレイを傍観する…

バーベキュー

新しい戸建て住宅が並ぶ辺り。天気の良い週末の夕暮れ。ぶらぶら歩いていると、あちらこちらの庭でバーベキューをしているのに出くわす。庭と道を隔てているのは僅かな植栽。その隙間から、缶ビールを手にする人と目が合うことも。覗き見していたようで頗る…

スパークリングワイン

飲む量も食べる量も著しく減っているのだが。時折、無性にスパークリングワインを飲みたくなる。妻がアルコールを一滴も飲めない体になる前は、クリスマスや誕生日のプレゼントとして購入し、一緒に飲んでいた。今、家で一人飲むなら、ハーフボトルになる。…

今日は休む。

震災前。仕事は、どちらかと言えば、調子が良い頃だった。早朝、6時45分くらいだったか。職場近くの、小さなターミナル駅に着いて、改札へ向かって歩き出した。改札手前の売店。(今は駅中のコンビニエンスストアだが、その頃は、ローカル私鉄系列の売店…

歌う人

発症から5日間の自宅療養。それが終わって2週間が過ぎた。体調は元に戻っているのだが、気持ちは落ち込んだまま。溜息の大きさに、自分でもハッとする。その一つ一つを潰していくつもりで、メインブログや外出ブログ用の英文を作っている。いつ公開するの…

青葱

熱で臥せっていて、あれこれ妙なことを考えた。蕎麦やうどんの薬味にするような刻んだ青葱を大量に食べたくなった。頭の中では、胡麻油を引いて熱したフライパンに、小口切りにした青葱を大量投下する。火は直ぐに止めて、余熱の中で、ナンプラー少々、鷹の…

♫貧乏は不運で病気は不幸♫

臥せっていて、高田渡の歌声が思い出された。そこから叔父のことを思い出す。父よりも随分早くに亡くなって、今年はもう何年になるのか。 或る年の元旦。伯母の家への年始に、その時も私は欠席し、家に一人でいた。夕暮れ近い頃、叔父が訪ねてきた。高校生の…

発熱病臥

たいした熱ではない。しかし平熱が低いと微熱でも節々が痛い。38℃越えともなれば、この世の終わりだ。家庭内隔離を言い渡され、猫は構いませんかと尋ねた。猫には、うつらないですが、その猫が他の家族に擦り寄ったりするのは、どうなんでしょう。分かりませ…

蕎麦搔き

蕎麦屋というものを見かけない。街中の路地裏を探せば見つかるのかもしれないが、一見の客が入っていくには敷居が高過ぎる。しかも蕎麦を食べるのが主ではなく、あくまでも酒の肴、アテとして考えるから、店に入る前から何某かの遠慮がある。日本酒ではなく…