新聞を読まなくなって久しい。
妻が読んでいるため、購読料は今も払っているのだが。
無論、テレビのニュース番組も見ない。テレビスィッチをオンにすることも滅多にない。
中学校の夏休み。
中央図書館の大閲覧室で新聞を読んでいる痩せた老人に何度も出遭った。
蓬髪。白髪交じりの長い髭。
くたびれた服装だった。
「日本人の識字率は高く、浮浪者ですら新聞を読んでいる。」
日本にやってきた人たちの言を目にする度、その夏休みの老人を思い浮かべた。
彼が浮浪者だったのかどうかは分からないのに。
新聞綴りの端から端までを読んで、それが終わると別の新聞綴りを取りに行き、戻ってくる。それを繰り返して、一日を過ごしているようだった。
今の私は、取っている新聞を読まず、精々、ネットニュースの見出し一覧を眺める程度だ。
そして、朝から鬱になる。
耳目を集めているもの、今の潮流から、遠く離れていたい。
ネットニュースの見出し一覧を眺めているのは、世の中の熱狂から逃れるため。そう言い聞かせているのだが、どうにも辛くてたまらない。
すぐにでも「一億なんちゃら」の世の中が来てしまいそうだ。
