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コロッケ

小さな飲み屋の女将さんが、コロッケを作っていた。
少し遅い昼食になったので、2時を過ぎており、客は私だけ。巻き身を炒めたものを肴にして湯割りのウィスキーを飲んでいた。
コロッケ、わざわざ手作りされるのですね。そう呟くと、常連さんからのリクエストです。と応えた。
俵型に整えているのを見ながら、改めて、その手間を想った。
パン粉を付けて揚げなくても、この段階で既に食べられる。ドイツの家庭料理を謳う小さなビアレストランで、そんなものを出された気がする。
コロッケだから、あんまり高い値段はつけられませんね。と云うので、
惣菜のポテトサラダを買おうとした女性に向かって、ポテトサラダぐらい自分で作れと怒鳴った老人のニュースを思い出した。
自分で作らないか、作っても毎日ではなく、偶に作るだけの人。そんな人に限って、勝手なことを言うのだと思う。また、作ってもらったものをあれこれ言うのも見苦しい。不満なら、毎日自分で作って食べるだけではなく、誰かに食べてみてもらわなければならない。女将さんにコロッケをリクエストした人は、よほどの常連、上客の人なのだろう。
大きな密閉容器に綺麗に並べ終えて、しばらく置きます。と云った。
いったい、幾らで提供するのか、聞かずじまいで店を出た。
家庭での手作りコロッケは俵型が多く、業務用のものは小判型が多い。その理由を教えてもらったようにも思うが、女将さんの私見だということで、何となくうろ覚えのまま忘れてしまった。