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架空の旅行プラン

鬱々とした気分を紛らせるため、旅行プランを立てる。
実現する当てはない。
それでも、飛行機には乗らず、精々、新幹線を使うか使わないかを迷う程度。
新幹線を使わなければ、移動に時間を要する。早朝に家を出ても、到着が18時を過ぎてしまう。
新幹線が速いというよりも、在来線の連絡の悪さ。駅での待ち時間の長さに、JRの意図が窺える。

それでもPCの検索で、行ってみたい場所の最寄り駅を知ると、自宅からの所用時間と交通費を確認する。
嘗て、知人の幾人かが時刻表を眺め、机上旅行を楽しんでいたように。
お気に入りは、古びた旅館だが、あまりにもうら寂れた宿は敬遠する。それなりに手が入り、ある程度リニューアルがなされたところ。日が沈む海や湖の望める場所に惹かれる。
素泊まり中心の計画になるのは、たくさんの料理を出されても食べきれないから。
それを可能にするべく、駅前に居酒屋、蕎麦屋がないかも探す。無ければコンビニエンスストア
ストリートビューで行きつ戻りつを繰り返す。

昼下がりの数時間を費やし、その場所へ行ったつもりになってから、いつもどおり夕暮れの散歩へ出る。
この空は、さっきまで見ていた場所に繋がっている。そう考えると、見慣れた風景までが違った色に染まる。
他愛ない厭世気分。笑うしかない。