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若い二人

時々、見ず知らずながら、いいなぁと思う若い男女二人に出遭う。
べたべたしさイヤラシサの無い、どこか清潔さを感じさせる二人。
むろん、私の勝手な思い込み、感想に過ぎないのだが。

今日電車の中で見かけた二人は中学生のようだった。
私が降りる駅の一つ前のターミナル駅、そのプラットホームに男の子が立っていた。手元のスマートフォンを覗き込んでいる。そこへ男の子よりも少し背の高い女の子が走って来て、横に並んだ。声を掛けた様子もないし、男の子の視線もスマートフォンから離れない。
ドアが開いて車内に入ってからも、言葉は交わさない。
それでも、二人は、すぐ傍、少しばかりの距離を保って、ドアに凭れていた。男の子の視線は、ずっとスマートフォン。女の子は、時折、ガラス窓に映る自分を見ながら前髪をいじっていた。

二人の乗車は僅か一駅間。私の降りる駅で降りて、前を歩いて行く。
改札口直前で、女の子が男の子に何か言った。
男の子は、微かな反応を示しただけで、一人改札を抜けて行った。
女の子は、精算機のところへ。
少し遅れて、女の子が階段を駆け上がっていくのを私は見送った。

いいなぁと思いながら。
しかし、傍にいる彼女を大切にしろよ_と言いたくなった。
男の子は階段の上で待っていたのだろうか。
私は、それを確かめてみようとは思わず、反対方向の階段を上っていった。