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未明の街景色

体調を崩してから朝起きるのが辛くなった。
軽くジョギング_という気持ちが起こらない。以前のように楽しいことと思えなくなった。
それでも、なんとか起き上がり、せめて、散歩でも_と考える。

未明の街を行く人の多くは punctual だ。決まった時間、決まった場所で目にするから、人影は、いつの間にか景色の一つとなる。人嫌いの私には好都合だ。
だが、私が時間に対して少しばかりルーズになり、これまでのように決まった時間の決まったコースを歩けなくなると、会いたくない人影が目に付く。
殊更、苦手に感じるのは、連れだって歩き、大声で話し続ける人たち。年輩の女性に多いのだが、そんな人たちと擦れ違って立ち話する男性もいる。お喋り好きは、性別には関係ないのだ。
話し声が聞こえると、少し道筋を変えてみる。むろん、そこでも初めての人影に出くわすこともあるのだが。

電柱のトランスや碍子、架線、その向こうの空を眺めながら、ここにはいない人のことを考える。その多くは、もう生きてはいないのだが、未明の街を歩いていると、何故かそうは思えない。会ったことのある人なら、暫く出会っていない人たちの一人に過ぎず、その気になれば、今日にでも会いに行ける。そう思うと、周りの音が遥か遠くになって、静かな街路を行く私の表情も緩んでいる。きっと微かな笑みを浮かべているに違いない。
人嫌いであるのに、未明の街では人恋しさが募る。