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ほろ苦いもの

妻が作る天婦羅は軽くて美味い。
結婚した当初や、娘が未だ小さかった頃は、私が海老の天婦羅を揚げて、どちらの両親にも振舞った。
しかし、いつぐらいからか、自分で揚げてみることはなくなった。
お惣菜の天婦羅も、家のものとは違う美味しさはあるが、二つ、三つ食べただけで、お腹が一杯になる。何が違うのか分からないのだが、買ってくる天婦羅の衣には、家で作るものよりも塩が効いている気がする。
今年初めて蕗の薹を食べた。比較的安価なものがコープで売っていたらしい。それを舞茸などと一緒に天婦羅にしてくれた。(因みに、海老はない)
蕗の薹の天婦羅を食べる度に、こんなに美味いものはないと心から思う。
苦みのあるものやクセのあるものは、油をくぐらせると、角が取れるからなのだろうか。
セロリを初めて美味いと思ったのは、祖母が天婦羅にしてくれたお蔭。(鹿児島式の砂糖を効かせた衣だったが)
苦瓜も、既にいろんな食べ方をしていて、苦さに慣れてしまっていたのだが、天婦羅は予想通りに美味かった。
ほろ苦いというタラの芽は、天婦羅にすると、寧ろ甘いように思うのは、私だけなのか。
ほろ苦いものを食べると、胸の痞えがなくなって、心が軽くなる。
蕗の薹の天婦羅を食べながら、ビールのホップの毬花を天婦羅にして食べてみることを夢想する。それも、妙に楽しい。