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ごぼ天

おでん定食を頼んだ。
御飯は少な目。店に入って先ず濁り酒を頼んでいるから、後から味噌汁と一緒に出してくれる。
大根・蒟蒻・厚揚げ・玉子・ごぼ天が出てくる。
ごぼ天が美味いと思うようになったのは50近くになってから。そもそも練り物は、おでんの出汁の素ぐらいにしか考えていなかった。出された品目も、若い頃なら物足りなく感じたはずだ。コロとまでは言わなくてもスジが欲しい。しかし、今では、練り物の中に牛蒡を入れることを思いついた人は天才だなと考える。

立ち飲み酒房では、おでん鍋に放り込む前の、ごぼ天を頼む人がいた。袋から出して大将が三つに切り分ける。皿にワサビを付けて。
そんな人は一人だけかと思っていたが、もう何人か別の顔も思い出す。人の好みは好き好きだから、私はマネしないが、冷蔵庫から出したままの冷たいごぼ天は、本当に美味いのだろうか。

おでん定食のおかずが減り始めるのを見て、御飯少な目と味噌汁、漬物を出してくれる。御飯、足らなかったら言ってくださいと声を掛けられるが、小鉢ものとして十分な量だ。

しあわせな気分で食べ終わる頃、この店は夏でもおでんが売りか?と尋ねる老いた男性の声がした。
おでんは冬のもんやろと。

偉そうに、大声で説教するのは、年寄りばかり。
hayaku kutabatteshimae 、と若い世代が思うのもムリはない。