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オヤツ

妻が入院して二日目の夜。
猫はその不在に漸く気づいたようだ。小さな鳴き声。妻のベッドのある2階へ探しに行って、すぐに戻ってきた。
妻だけに貰っているオヤツを食べていないことに気づいたという方が正しいのか。
獣医師から指定されている2種類の餌しか私はやらない。
しかし、妻は、その以前から、猫のオヤツの小袋をトッピングのようにしてやり続けている。
獣医師指定の2種類にも好き嫌いがあって、好きな方だけ先に食べて、もう一つの方は残している。お腹が空けば、いずれそれも食べるのだが。
オヤツは何が違うのか、皿へ入れてもらうと、先ずそれを食べている。
こっそり入れてもらっても、私が近くにいる時には、ばつが悪そうにこちらをみている。はいはいと言って苦笑し、2階へ上がるしかない。
好きなものは先に食べるのが猫だと妻は言う。

小さな声で鳴きながら妻がいないのを確かめた後、不満そうに私に尻を向けていた。
オヤツなしの生活は、妻が退院するまで続くのだが、それが何日間なのか、私にも分からない。