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廃車

正月休みで帰ってきていた娘と相談して、廃車を決めた。
私名義の車だが、阪神淡路の震災後、気の迷いから免許を取得したものの、運転は向いていない。
娘は大阪住まい。勤め先まで、歩こうと思えば歩ける距離に住むため、日常的には不要。
私の車は、亡くなった妻だけが運転していた。
彼女は自他ともに認める「方向音痴」。運転に特段向いているとも言えなかったのだが、4年ほど前の骨折以来、若い頃よりも歩くのを苦とした。僅かな距離でさえ車で行くほどだった。
妻だけが運転していた車は、彼女が入院した日以来、家の駐車場に停まったままだった。

廃車を決めて、ディラーに連絡し、次の日には下取りされて、家の前から姿を消した。
きれいな車だったのにな…
私の呟きに、ディラーの担当者も頷いたが、
あちらこちら擦ったり、当て逃げされた跡の残る車は、中古車として出ることはないとのこと。
あと2年車検が残っているにも関わらず、見積金額は僅かだった。
車は高い買い物。もう二度と買うことはない。

歩くのは好きだし、食材を買うスーパーマーケットも近所にある。
しかし、歩けなくなったら……
そんな不安が残った。