kanashiikimochide

sakeganomitaitoki

飲み屋のインテリジェンス

一人で30~40分飲んでいると、知らなかったことを小耳に挟むときがある。

これは随分前の話になるのだが。
母校の中学校が統廃合されることになった。
夕方、立ち飲み屋で飲んでいると、隣で飲んでいた年配客二人が、その話をしていた。話し具合から、統合されることになったもう一方の中学校の出身者だと分かる。
話の内容は、それぞれの同窓が抱いている疑問を要約する感じだった。
行政区の異なる学校を何故一緒にするのか。どちらも未だそれほどの小規模とは言えず、同じ区内には学年単学級もしくは2学級になっている中学校もあるのに、そこは手付かずで残る。
そんなことをゆっくりと飲みながら静かに話していた。

校名は、どうなるんやろ。二つの名前をくっつける形かな。どっちが先かで、モメルやろな。
一人が、そう言うと、
近くの公園の名前を持ってくるのと違うんか?
(私も実は、そう思っていた。)
しかし、もう一人が即座に否定した。
その名前はないやろ。明治の商売人の名前を公立の中学校名にしたらオワリやで。
それを聞いて、いろんな場所のいろんな名前が私の頭の中で繋がった。
確かに。そのとおりだと思った。

で、新しい名前やけど、前になくなった小学校の名前を復活させるのは、どうや。場所も、すぐ近くやし、ひっつく二つの中学校と同じで、漢字一文字や。

そうやな。あれは綺麗な名前や。サコンノサクラ。ウコンノタチバナ。それで決まりやな。
カタカナ部分は、飲んでいた時には呪文を唱えたようにも聞こえたが、学校名は、すぐに分かった。
(それで異議なし。)私は、そう思いながら店を出た。

数か月後、新しい校名が発表された。元の学校名をくっつけた上に、当時、男の子に付ける漢字として人気だった漢字が一つ、間に入っていた。
在校生、PTAのアンケート結果だという新学校名に、絆仲間家族地元云々の風潮を嗅いだ気がしたのは私だけだったのだろうか。