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オヤジさん -2-

◎昼寝前

喧しい酒飲みが嫌いなオヤジさんだったが、時々は商売人らしい人懐っこさも。

朝一番に、中央の魚市場へ行き、晩は8時9時近くまで開けていた店だから、途中昼寝が入る。その間は、娘さんか、娘さんが辞めた後は、古くからの連れだという大柄の男の人が代わりに立っていた。娘さんも連れの人も、そのまま閉店時間まで、オヤジさんと一緒に店にいた。

その日、その時間に飲み始めたのだから、休日出勤した土曜日だったのだろう。入っていつものようにコップ酒と、一つか二つオカズを頼んだ。店には、オヤジさんと私だけ。途中からやってくる娘さんか誰かを待っている微妙な時間帯だった。テレビはゴルフの中継を流していた。

オヤジさんは、欠伸を噛み殺しながら、中から出てきて、カウンターの私の横に来た。普段よりも小柄に見える。カウンターの向こうは一段高くなっているのだろう。カウンターに凭れながら、黙ってゴルフを見ている。頬杖をついて、また欠伸。前垂れを外しているから、今は店の人間ではないということなのだろう。
私もいつもどおり何も言わず、ゆっくりと飲んでいた。
そのあと暫くしてnaoko さんが店の引き戸を開けた。
オヤジ、何しとんねん。という声が、妙に可笑しかった。