土曜日の午後
天気が良いのは今日まで。
そう聞くと、どこかへ出かけたくなる。
しかし、行くあてはない。
ふらっと立ち寄れる本屋も、角打ちの店もない。
職を辞してからは、土日祝日に街中へ出かけることもない。
悲しい気持ちで_の歌詞とメロディーが頭に浮かぶ。
歌いまわしは作者のシバではなく加川良。軽快な調子では歩けない。
昼飲み出来る店のことを考える。
10年ほど前になくなった立ち飲み屋へ行きたくてたまらない。
この時期は、店に入ると先ず新子釜揚げを注文した。
街には、くぎ煮の匂い。
震災後、呆れるほど誰も彼もが、作り出した。昔からの習慣、風物詩のように煽る言説と共に。
甘辛い佃煮を何キロも、あちらこちらの台所で作っているのか_そう思う内に、当たり前だが漁獲量が激減。新子搔き揚げなどの美味いアテが、下町酒場から消えていった。
流行り廃り。
右へ倣えの風潮は、いつになったら廃れるのか。
良いことなど何もない。